麗の招きもあり、ARGシンポジウム2009@慶應三田キャンパスへ。イベント概要はこんな感じ。
ARGシンポジウム 2009 について
次世代エンゲージメント手法として、世界のコミュニケーション産業から注目されるARG(代替現実ゲーミング)。その先駆的な取り組みにより、カンヌ国際広告祭サイバー部門でグランプリを2年連続で獲得した 42 Entertainment のクリエイターを招いて、ARGの有効性と可能性を明らかにします。

慶應経済・武山先生のプレゼン。コンセンサス形成に最適なレベル。

Alex Lieu (Chief Creative Officer for 42 Entertainment)のプレゼン。面白かったしビビった。これほどまでかと。あとはメディアファクトリーの方とかくるりARGのプロデューサーとかADKの方とか。総じてARGに対する熱量が高く、その情熱が聴衆に伝わってくる良いイベントでした。
内容についてはtsudaられている(有料のイベントなのに。良い時代!)のでそちらをご覧いただければ何となく分かると思います。で、感じたこと。
■マーケティング手法としてのARG
例えば、プロモーションの対象となるサービスなりコンテンツなりプロダクトなりが全く知られていない状態からこの手法を用いることができるのか。用いることができたとしていわゆる”ARG”はきっちり成立するのかが見えないな、と。世界的にもしくはローカルで一定の評価を得ているARGプロモーションは得てして「コアユーザーもしくは準コアユーザーとのより深いコミュニケーションによってロイヤルティを高める」形でしか作用しておらず、これによって全く興味がなかったユーザーが新たに興味を持ち、購買に至ったかというと、それはそうではないはずで。
そもそもリアルとバーチャルを行き来しながら、の「リアル」という概念を用いた瞬間、リーチ総量と効率には限界が見え、同時にキャンペーンへの関与ハードルは一気にあがってしまうわけで、「新規獲得用」の手法ではないな、と改めて認識。もちろん誰も考えついていないスペシャルなスキームで突破することもいつかあるんだろうけど、今のところはバットマンにコナンにマイクロソフトと、ある程度の認知が既にあるプロダクトで、ターゲットボリュームが(多くてもこれくらい、少なくてもこれくらい、と)見えているからこそ成立しているわけですね。
■エンターテインメントCRM?
で、だからARGがイケてないかというと全くそんなことはなく、この概念はCRMに振ってしまえばいいんじゃないかな、と思っています。「エンターテインメントCRM」みたいなね。安っぽいけど。ターゲットは「既存顧客」として明確で、深堀(換言すればエンゲージメントの強化)するタイプのコミュニケーションであって、「結果として」周辺ユーザーにリーチすればラッキー、くらいのテンションで望まないと手法として苦しむ結果になりそうな予感がします。
■広告会社とARG
広告会社的な立場から考えると、まず、普通のプランナーが組み立てられるレベルのストーリーではないと思います。ミステリー作家とか、構成作家とか、とにもかくにも「作家」というレベルが必要。下手に手を出すと怪我する雰囲気がひしひしと。なので、根本のストーリー構築の部分はアウトソースし、コアなユーザーがいかにノンコアユーザーにバイラルするのか、という部分を提供するのが妥当だと思います。今のところ。メディアニュートラルにコミュニケーションをデザインして、みたいなことはもう当たり前のようにやられていますが、ARGとの根本的な違いは条件分岐の数にあり、通常の広告コミュニケーションによって行われているのは大抵1種類の、多くても4〜5種類くらいのシナリオプランニングだと思うのですが、ARGは比較にならないほどの条件分岐の多さで、そのプランニングは完全に「職人」の域にあると改めて感じました。
■楽しかったな!
企業ごとに異なるビジネスのフェーズやスタイルにもよりますが、既存顧客により多くマーケティングコストを投下すべきなのは「鉄則」。だとするとこのARGという手法はまだまだ研究され、まだまだ活用される余地があると思います。と、同時に課題も山積。この言葉、概念が単なる「buzz」に終わらないように自分としても何らかがんばっていきたいな、改めて今のコミュニケーションって難しくて面白いな、と思った3時間ほどでした。
あ、ちなみに昼飯は「山食」で食べました。

ごちそうさまでした!