東京企画構想学舍 企画10人セミナー 第6回 片山正通氏 #kikaku10 #gakusha

今回は遅刻せずに到着。よかった。木曜夜19時半からという、よく考えてみると1週間で一番踏ん張らなければいけない大切な時間を費やしているわけだけど(たった今もね)、毎週確かな、そして想像したよりも多くの刺激をちゃんと受けているし、ちょっとずつ何かが変わりつつあるのが分かる。摂取する情報も変わるし、考えることも口をついて出る言葉も変わる。時間は有限だし仕事はたくさんあるからついつい仕事しなきゃ(と言いつつ、仕事してりゃいいか)と思いがちだけど、意識して続けていかないとな。

ちなみに昨日はMIT石井教授のUST見て痺れて、

(「必見」というのはこういうもののことを言うのだと思う)

その後山パンミーティング(秋のパンツ祭りの事前打ち合わせ)で死ぬほど笑ったりしてて、何か脳がいい感じになってきてる。いい流れは自分で持ってくるもんだ。

第2回第4回第5回に続く6回目。で、前回も書きましたが、

で、どうやらまとめている人が増え始めたみたいなので、 #gakusha とか #kikaku10 とかを適宜参照してただけると良いかと。録音したのを文字起こししているわけではないので当然聞き間違えるし、特に参加者サイドとしては講師が喋ったことをそのまままとめても仕方なくて、その内容から、終了後の事物に対する解釈とアクションがどう変わったかの方が何億倍も大事なわけで、いろんな人がまとめることによってそういうのが共有できたら良いな、と思うわけです。

思うわけです。さて。

***

講義開始前のスクリーンにはyugopによるWonderwallのスクリーンセーバーが。
「こういう時に流したくて作ってもらったんですよね」と嬉しそうな片山さん登場。

1966年生まれ44歳。
24歳の独立時には既にバブルが弾けていた。
東京に来たのは21歳の頃。世界中から東京にデザインが集まっていたが、表層的だった。
実験」が終わった後。デザイナーに対する信頼がなくなる。それをどう取り戻すか。
WoderWall設立は30歳のとき。
数をたくさんこなすスタイルから自分がやりたい仕事だけやるスタイルにシフト。

(ここからhttp://wonder-wall.com/をプロジェクションしつつ解説)

Wonderwall Office

・NOWHERE(BUSY WORK SHOP)
 NIGOが本名で連絡。来るまで誰か分からなかった。
 人気がありすぎて店の外に列が出来近所迷惑だったので店の中に通路を。
 ブティックのセオリーを無視する。洋服が20着かかればよい。
 アミューズメントパーク。乗り物に乗り込むような感覚。
 洋服がなかったとしても客が喜ぶ店に。

SUNAOKUWAHARA
 予算少なめだが、お金がないことも楽しんで思い切る。諦めなくて良かった。
 工事用のマテリアルを多用。ヒッチコックの「鳥」

THE BANK : BB
 横浜銀行の跡地。「ちっとも新しくない、昔からあったような」
 イタリアのバール、アイルランドのパブと、日本の「あの頃の感じ」

BEAMS T
 Tシャツをアートとして考える。フロントとバックがしっかり見える。
 アーティストがキャンパスに描くアトリエのように。

DRAWER AOYAMA
 ヨーロッパの感じ、イギリスの感じ→ピンと来ない。
 偶然クライアントのところにあったDavid Baileyの写真集で盛り上がり、空気を共有
 取り去れない柱をショップの外に出す。柱を逃げる形でエントランスを。
 店に入る前を白、入った後を黒とした場合、グレーのような空間を作ることができた。
 気持ちよくショッピングできるように、「逃げ場」を作る。

100%CHOCOLATECAFE
 担当者の部長大変。役員が毎日店の前を通る。人がたくさんいないと!
 デザインを装飾として考えない。理詰めで必然で
 キッチンを作り、チョコレートショップにシェフズテーブルを。
 ノリで56種類のチョコを企画、提案。大ヒット商品に。
 →どのような商品が売れるかのマーケティングにも役立つ。偶然。

PIERRE HERME PARIS Aoyama
 エルメ氏から「自販機やガチャガチャでマカロンを売れないか」「コンビニ好き。ラグジュアリーなコンビニを作ろう」。
 古いwall paperのパターンをガラスとミラーで作る。

LOOPWHEELER
 「その頃のムードはその機械でないと作れない」(LW鈴木氏)
 ツイードのジャケットを入れるようなものにスウェットを閉じ込める。ジョーク。
 
A.P.C. DAIKANYAMA HOMME
 Jean TOUITOUから電話。「手伝え」
 DCブランドは空間に緊張感がある。対立概念としてのガレージ。
 なんてことのないガラスブロックも保存しよう。

COLETTE
 セレクトショップはすごい。バイヤーすごい。
 毎週すべてが入れ替わる商品。その新鮮さ。流れを止めたくない。
 全体のダイヤグラム、絡み方を慎重にデザインした。

PASS THE BATON
 ショップのコンセプトに共感。インテリアもリサイクルでやる。
 ただ、ムードではなく、あくまで現代的に、カラッとさせたかった。
 象徴として、アメリカのリンゴジュースのビンと蓋でシャンデリア。
 ※表参道にはティーカップでシャンデリア。

NIKE FLAGSHIP STORE HARAJUKU
 NIKEは原宿にFLAGSHIPを出したかった。10年間。
 オープンまで2年半かかるプロジェクト。時の流れによりコンテンツも変わる。
 consumer experience:全体を遊び場に。
 人の流れを止めない。自然に入ってもらえるように。
 表参道の一部になりたい。
 床をトラックに、木型で作ったJUST DO IT、壁がソールで、ビブスのシャンデリア。
 コンシューマーと近づくために野暮ったさを演出。天井はがしたり。

THE SOHO
 外観はモノクロ。廊下は全部色を塗る。十人十色。
 原宿セントラルアパートのように。
 ロビーはホテルをつくる気分で。天井はティン。

*

自分の「作品」は作らない。クライアントと話しながら作り上げる。
クライアントが望むもの、クライアントのファンが望むもの、そして時代が望むもの。
「イメージ」は重要だが共有しない。
早いタイミングで、模型を使って現実を見せる。見えるものがある。

*

UNIQLOの話。

柳井氏が戻ってきたタイミング。ロンドンとかうまく行っていない。
佐藤可士和氏を「プロフェッショナル」で見て電話。
SOHOに1000坪を10か月でOpenしたい。無理。
いろいろありながらも、「日本を代表するブランドの勝負を前に逃げられない」と決意。
グローバルブランドを確立するための「ショーケース」

図面持ってなくて怒られる、エレベータ発注しろと怒られる。
レセプション直前まで作業車が入る。
「間に合わなかったらどうします?」→「間に合うから大丈夫」と押し切られる。
後日談「工事中でもオープンしちゃえばいいと思って」UNIQLO USA堂前氏。

可士和氏のコンセプト「美意識のある超合理性 beauty conscious ultra rational」
柳井氏「レコードを売るように服を売りたい」「服はパーツである」
空間コンセプトは「商品でつくる」。商品だけで空間を構成。
「(UNIQLO)らしさ」。圧倒的なプレゼンテーション。

Rem KoolhaasのPRADAが近くにある。
UNIQLOにできてPRADAにできないことを徹底してやる。

壁に商品を利用しキャラクターを与える。
1900年代初頭のレインコート屋のイメージで意識共有。
ライブラリ、倉庫、和室のリズムと美意識、能舞台。
YMOの「増殖」

ボロボロの壁がとにかくかっこいいので残す。UNIQLOがSOHOに来た距離感を表現。
建築が目立たないようにデザインを。
カシミアのWall、TシャツのWall

出来てみると精度が悪く、ボールを置くと転がる。
ただ、思い切ったアイデアの実現は精度に勝る。
エスカレーターを階段に切り替えたのは、自分の足で登ってほしいから。
面倒だけれども、それでもそれを体験したいと思わせたい。

UNIQLOを、というよりチームで日本をプレゼンテーションした。

*

企画の際は毎回リセットする。
作家の前に受け手としての感覚を大切にする。
作為をすべて取っていく。
掘り起こす。作るのではない。

インターネットの便利さにどう対抗するのか。
ワンクリックではない、「来てみて良かったな」と思ってもらうことが重要。
アナログな行為に重要性を。

海外においてはデザイナーに「センス」だけを求めていない。
日本のように「なんとなく」のまま出来上がることはない。

モチベーションとかじゃない。恐怖
怖いので「イメージ」の段階を早く終わらせたい。
現実化することで「一緒にやってる」感覚を共有してもらう。

アイデアは苦しみ、苦しみ続けると出る。苦しまないと絶対に出ない。

***

時間通りに始まり時間通りに終わる。箭内さんのようなハチャメチャさもなければ後藤さんのような鋭さも感じさせず、勇吾さんのことを「天才だ」と言い続ける。極めて普通で極めて几帳面、という印象を受けたけれど、その裏には恐怖感から来る多大なる準備があることが(ご本人は「それは見せたくない」って言ってたけど)ひしひしと感じられた。自分が誰であるのか、そしてプロジェクトベースで何を考えながら仕事をしてきたか、という意味において完璧なプレゼンテーション。

DRAWERの話が特によかったな。片山さんの仕事だって知らなかった。1週間に何度も通る骨董通りで、路面から遠くアプローチを取られたあの異質な空間はとても好みで、昼でも夜でも表情豊かだなあ、と思っていたけど、柱という制約条件を解釈することで「グレー」を作り出すというのはものすごく参考になった。中も気になるし近々いってみよう。あと、代官山のA.P.C.は本当にかっこいい。

質問の時間までは割と淡々と進んだものの、質問によるアドリブにはやっぱりその「人」が出るんだなあ、とニコニコして聞いていた。恐怖から逃げるため。巻き込む。苦しまないと何も生まれない。スマートな仕事の裏の「何か」を見ると勇気出る。

久々に建築やインテリアをたくさん見たら、大学生から20代前半まではファッションの文脈から発展的に写真や建築に興味を持ち、毎日のように「いわゆる有名建築家の作品」を見て回っていたことを思い出した。Renzo Pianoの銀座HERMES、青木淳のLouis Vuitton各種、SANAAのhhstyle.com、そしてDior、伊東豊雄のTOD’S、H&dMのPRADA、など。考えてみればそのすぐそばに片山さんの仕事がたくさん存在していたわけだけど、当時は表面的、構造的な美しさ、ブランドの物語的な解釈と表現みたいなものばかりに興味があったせいか、極めてリアリスティック(に思えた)なその仕事に目が向いていなかった。

で、数年後、自分でも広告とかコミュニケーションをやるようになって、いかに人が動くか、気持ちが動くか、みたいなことを日々死ぬほど考え始めてみると、かつてあまり興味がわかなかった(という表現は正確ではなくて、もちろん見られるものはひととおり見て回ってたんだけど、どちらかというとインテリアより「建築」に興味があった。こう書くと箱モノが好きな建設官僚みたいでやだな)片山さんの仕事に表現される「コミュニケーション」を感じ、なぜ片山さんが「選ばれる」のかが分かったし、昨日のお話でそれが更に明確化された。発注したくなる。

まずはこれ、行かないとな。

「Exhibition of Wonderwall archives 01」
会場: ポーラ ミュージアム アネックス
スケジュール: 2010年10月29日 ~ 2010年11月28日
住所: 〒104-0061 東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3F
電話: 03-3563-5501 ファックス: 03-5250-4670

インテリアと広告、コミュニケーション、建築と広告、建築とWEB、いろいろ考えてみたいことはあるけれどいったん置いておいて、金曜日をピリッと締めたいと思います。改めて、この講座申し込んで良かった。安いぜ5万円。

ありがとうございました!